ヒト正常膀胱、および尿道閉塞が証明された閉塞膀胱におけるα1受容体のmRNAの発現、および、α1受容体サブタイプ(α1a、α1b、α1d)各々のmRNA量を定量し、α1受容体の総量と各サブタイプの比率が閉塞によりどのように変化するかを検討した。 平成12年度に検討した症例数は、手術時に得られた正常膀胱9例、および閉塞膀胱8例であった。α1受容体の発現をmRNAのレベルで検討したところ、α1受容体の総量は非常に少量であった。さらに各サブタイプの検討でも同様に発現量はごく微量であった。正常膀胱と閉塞膀胱におけるα1受容体の総量、および各サブタイプの発現比率を比較すると、その差は非常にわずかであり、閉塞による変化を捉えるまでにはいたらなかった。次の課題は、さらに症例を増やしてわずかの変化を捉えることと、薬理学的な検討を加え、膀胱平滑筋におけるα1受容体の役割を検討することである。
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