今年度は、培養細胞上で培養液とともに、回転板を回転させることで、細胞に"ずり応力"shear stressを与える装置を利用し、shear stressが膀胱癌細胞T24に与える影響を調べた。今回も、T24では発現の認められないE-cadherin遺伝子の発現について検討した。回転板の回転速度によって、4群(shear stressが0、5、10、20dynes/cm2)に分けた。さらに、それぞれを、負荷への曝露時間によって3群(0、6、12時間)に分けた。それぞれについて、stretch stressと同様に、E-cadherin遺伝子のmRNAレベルの発現をNorthernblotで、また蛋白レベルの発現をWestern blotで解析した。その結果、mRNAレベルの発現は、shear stressが5ならびに10dynes/cm2で、12時間曝露した群にのみ認められた。また発現は5dynes/cm2の群で若干強かった。蛋白レベルでは、いずれの群も確認できる程のシグナルは得られなかった。現在、再現性を確認するため追試を行なっている。 一方、前年度に検討したストレッチストレスに対するT24の遺伝子レベルでの反応については、現在、differential display法で、負荷によって新たに発現する、もしくは発現が著しく強まる遺伝子のスクリーニング中であり、まだ最終的な結果は得られていない。
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