研究概要 |
対象は1998年4月から2001年2月までに当科で診断された膀胱癌26例,腎盂癌9例,尿管癌3例の38例で,年齢は49〜86歳(中央値71歳)である.病理組織は移行上皮癌31例,移行上皮癌+扁平上皮癌2例,移行上皮癌+腺癌2例,移行上皮癌+扁平上皮癌+腺癌2例,不明1例であった.抹消血7mlからRT-PCRを施行し,血中にサイトケラチン(CK)19および20の産生細胞の存在を検出した. 原発巣の病理組織においてGrade1:5例,Grade2:28例,Grade3:4例のうち,CK19陽性がそれぞれ1例,12例,2例,CK20陽性が2例,17例,3例,pT1:1例,pT2:10例,pT3:5例,pT4:3例のうち,CK19陽性が1例,2例,1例,2例に対し,CK20陽性が1例,5例,3例,3例であった.pN-:22例,pN+:10例中CK19陽性が8例,4例に対し,CK20陽性が9例,9例であった(p=.02).採血時リンパ節転移を有していた12例中CK19陽性が3例,CK20陽性が9例で,遠隔転移を有していた2例中CK19陽性が1例,CK20陽性が2例であった.再発した10例中CK19陽性が3例,CK20陽性が9例,癌死あるいは転移巣を有して生存している12例中CK19陽性が3例,CK20陽性が9例であった.以上より,サイトケラチン20が尿路上皮癌の予後因子になりうることが示唆された.
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