未熟雌ラット(21日齢)にdiethylstilbestrolを1日1回4日間皮下注し、26日齢で屠殺し、卵巣を無菌的に摘出、26G針にて卵胞を穿刺し、顆粒膜細胞を採取し培養した。FSH受容体数を125I-FSHを用いたbinding assay法により測定した。また顆粒膜細胞の機能の指標としてFSH刺激によるE2産生能を測定した。一方、ヒトFSHR遺伝子をアデノウイルスに組み込んだ組換えアデノウイルス(Ad-FSHR)を作成、培養1日目にMOI10にて顆粒膜細胞に導入し、同様にFSH受容体数、E2産生能を測定した。FSH受容体数は培養0日目は4874/cellであり、FSH刺激によりE2が3078pg/ml産生された。3日目のFSH受容体数は2176/cell、E2産生量も306pg/mlと減少し、7日目ではFSH受容体は692/cellと約1/7に減少、E2産生量も126pg/mlと約1/24にそれぞれ経時的に減少した。一方、Ad-FSH受容体導入顆粒膜細胞では、3日目では受容体数が7206/cell、E2産生は4253pg/mlと未導入細胞と比較して有意に増加、培養7日目においてもFSH受容体数が1734/cellと未導入細胞の約3倍発現しており、E2産生量も547pg/mlと未導入細胞の約4倍産生されていた。以上により、顆粒膜細胞は培養7日目ではFSH受容体の数が減少し、E2産生能が低下するが、FSH受容体遺伝子導入により、顆粒膜細胞の機能を持続させることが可能であった。
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