研究概要 |
PIH病態形成におけるAT1・AT2の相互作用 PIH患者・正常妊婦血清添加による培養血管内皮細胞(HUVECs)におけるNitic Oxide (No)産生に対するAT1・AT2の影響:HUVECsにPIH患者・正常妊婦血清を添加し,multiplex RT-PCR法を用いて血清因子によるiNOS・eNOS mRNA発現に与える影響について検討したその結果,PIH患者血清添加によってHUVECsにおけるeNOS mRNAの発現は正常妊婦血清添加に比して変化しなかったが,iNOS mRNAは著明に増加した.この変化は,AT2 inhibitorによって阻害されAT1 inhibitorによって促進された.このことからHUVECsにおけるiNOS mRNAの増加は,PIHの病態に対する代償性の変化として,AT2を介して行われているものと考えられた. 今回検討の結果,PIHの病態形成におけるアンジオテンシンの果たす役割は,AT1・AT2を介した直接的な血管収縮・弛緩作用のほかに,iNOSを介した内皮由来血管弛緩因子であるNOの産生に作用することによって間接的な血管トーヌスの調節にも関与していることが明らかとなり,直接的・間接的にPIHの病態形成に関与している可能性が考えられた. 更に・PIH患者において認められるアンジオテンシンIIに対する血管感受性の亢進は血管内皮細胞におけるAT1/AT2の比の変化によって説明できることを初めて発見した.
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