研究概要 |
卵巣過剰刺激症候群の発症が予測される患者,並びに発症した患者を対象に血液,腹水などを採取した.現在これらのホルモン値,サイトカイン値などの測定を行ない解析中である.その中で免疫グロブリンの動態を観測し、卵巣過剰刺激症候群を発症した患者では感染に対する免疫力の低下が見られること、腹水の持続静脈内還流法による卵巣過剰刺激症候群の治療は感染予防の点からも有効であることを証明し、発表した。また,血液中エストラジオールとvon Willebrand因子が卵巣過剰刺激症候群の発症予知因子として有力であることも判明した.これら予知因子の結果と卵巣刺激法の改善(ハイリスクの患者では全胚凍結または卵胞発育を低く抑えること,ゴナドトロピン投与量の見直し)により卵巣過剰刺激症候群の発症率を抑えることに成功した(15%から8%へ半減).また,卵巣過剰刺激症候群の遷延化と胎児の数との間に相関のあること,流産は卵巣過剰刺激の遷延化に影響を与えないことを証明し,現在論文として投稿中である.また,我々の開発した腹水の持続静脈内還流法による治療症例を集積し臨床データを集積し,その安全性と有効性について確実なものとした.また,その妊娠予後についても検討し,不妊学会総会にて発表予定である.平成13年度は,腹水の持続静脈内還流法による治療症例を中心に血液,腹水中の各種ホルモン,サイトカインなどの測定を行ない,卵巣過剰刺激症候群の病態生理,治療理論について解析を進める予定である.
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