卵巣過剰刺激症候群の発症が予測される患者、並びに発症した患者の血液、腹水を採取した。これらのホルモン値、サイトカイン値を測定した。この結果からインターロイキン6、11、VEGFなどが本症候群の発症、重症化に深く関わっていることが判明した。現在、論文にまとめ投稿中である。この中で卵巣過剰刺激症候群の遷延化と胎児の数とに相関のあることをつきとめ発表した(第53回日本産婦人科学会、札幌)。この結果は論文にまとめ現在投稿中である。また、その妊娠予後に対して卵巣過剰刺激症候群およびそれに対する治療は影響を与えないこと、また胎児への影響もみられないことを明らかにし、発表した(第54回日本産婦人科学会、東京)。同時にわれわれの開発した腹水の持続静脈内還流法による治療は胎児にとって安全であることも確認された。この結果もまた論文にまとめ現在投稿中である。また、研究中に実施した子宮内膜症患者に対する新しい治療法のひとつであるエタノール嚢腫固定法について本法が生殖能力に影響を与えないことを実証し論文として発表した。本課題に対して現在我々の開発した腹水の持続静脈内還流法による治療症例における血液、腹水中の各種ホルモン、サイトカインのアッセイは終了しており、アルブミン、ドーパミンを用いた従来の保存的療法に比して、本法では再静注により腹水が全身循環に入り、肝、腎を通過することにより有害な生理活性物質が除去されることを示唆する重要な知見を得た。解析結果を待って論文準備中である。
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