研究成果 生後8週の未処置のブタ4頭を用い実験を施行した。全身麻酔下、気管内挿管を行い経耳管換気を遮断した後、鼓膜切開を行い、外耳道にカテーテルチューブを挿入し周囲を密閉、チューブの他端を圧トランスジューサに接続、デジタル表示計の値を記録し中耳圧変化測定を行った。その後呼吸器に接続し、過換気状態、自発呼吸を繰り返し、呼吸状態の変化に伴う中耳圧変化測定を行った。また同時に血液ガス分析を間欠的に行った。 以前行ったティンパノメーターでの計測と同様に、血液中の二酸化炭素分圧の下降上昇に伴って中耳圧が下降上昇する現象をとらえることができ、中耳粘膜を介して血管内と中耳腔には活発な気体交換が存在することが確認できた。また今回の圧トランスジューサの導入により、圧変化をより直接的に測定することができるようになり、より鋭敏な中耳圧変化を記録することが可能となった。 以上で得られた圧変化データ、血液ガス分析データを基に正常耳の中耳腔経粘膜換気作用を定量的に現在解析している。 今後の研究の展開 1.対象の例数をさらに増やし定量的に中耳圧変化の解析を行う。 2.乳突削開モデルを作成し、同様に中耳圧の計測を行い、さらに正常耳データと比較検討し乳突削開術が経粘膜換気作用におよぼす影響を検討する。 3.今回の動物を用いた実験手技にもとづき、笑気を使用した全身麻酔下の耳手術中に同様の中耳圧測定を行い、ヒトにおける経粘膜換気能を評価する。
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