研究概要 |
平成12年度は種々のムチン分泌刺激物質がそれぞれ異なったムチン遺伝子の発現を亢進させることを明らかにした。13年度はムチン分泌刺激物質が、どのような細胞内伝達系を介してムチン遺伝子の発現を亢進させているのか検討した。ムチン刺激物質によるムチン遺伝子の発現を様々な細胞内伝達系の特異的抑制物質(チロシンキナーゼ、フォスフォリパーゼ、プロテインキナーゼAやC、一酸化窒素合成酵素、グアニリルシクラーゼ、アデニルシクラーゼ等の抑制物質やCa伝達系の抑制物質など)を用い、細胞内伝達系を1つ1つ遮断しムチン遺伝子の発現亢進が、抑制されるかどうかを検討し、それぞれのムチン分泌刺激物質がどのような細胞内伝達系を介してムチン遺伝子の発現を亢進させているかを検討した。 培養ヒト気道上皮細胞にNO産生物質であるMAHMA NONOate(1uM)を投与すると、13種類のムチン遺伝子のうち、MUC2,5,12で有意な発現の亢進がみられた。この際、cGMPの増加がみられ、cGMPプロテインキナーゼを含む細胞内伝達系を介してこれらのムチン遺伝子の発現が亢進していることが考えられた。MUC2に関しては、他のチロシンキナーゼを含む細胞内伝達系を介する制御も報告されており、それぞれのムチン遺伝子はそれぞれ決まった伝達経路を介して制御されていると思われるものの、その伝達系は1種類ではない可能性が考えられた。
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