研究概要 |
まず、平成12年度は、頭頚部癌における線維化反応と間質細胞の役割について検討した。当科で1次治療を行った、頭頚部癌を発生部位別(大唾液腺、口腔・咽頭、喉頭)に分けて、それぞれについて、HE染色標本を再検討し、組織分類を行い、Databaseを作成した。その中で、喉頭の再発について再検討した。 さらに、喉頭癌における血管新生因子の発現と間質細胞の役割について検討し、血管新生因子であるVEGFとその受容体のflt-1,flk-1,発現や,他の血管新生因子の発現についても、免疫染色ISH法を用い、それぞれの蛋白、mRNAの発現を観察し、Multi-Labeling Subtraction Immunostaining法を用いてどの細胞が、血管新生に関与しているのか検討中である。これまでにわかっていることは、喉頭癌(扁平上皮癌)手術症例54例について、VEGF、CD34モノクローナル抗体を用い、癌胞巣におけるVEGFの発現と血管密度との関係を免疫組織化学染色法にて検討し、さらにVEGF陽性間質細胞に焦点をあて、この間質細胞が何であるかを形態的、免疫組織学的に検討したところ、癌胞巣におけるVEGFの蛋白発現は13例(24.1%)であったが、VEGF陽性間質細胞は全症例で認められた。VEGF陽性症例は血管密度も高く、統計学的にも有意差を認めた(P=0.0002)。また、癌胞巣におけるVEGFの蛋白発現率はVEGF陽性間質細胞数は正の相関がみられた(P<0.0001)。喉頭扁平上皮癌において癌細胞だけでなく癌周囲の間質細胞に発現されるVEGFは局所における血管新生に深く関与していることが示唆された。
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