研究概要 |
頭頸部扁平上皮癌ワクチンの開発を目的として、抗腫瘍活性の高いキラーT細胞を誘導できるp53タンパクのペプチド抗原の同定を試みてきた。これまで癌細胞上のHLA-A2.1に結合するp53の野生型ペプチドから3次元構造を考慮したアナログペプチドを多数作成し、その中で結合親和性の高いペプチドを選択した。健常人の抹消血単核球を分離し、IL-4,GMCSFを用いて樹状細胞を誘導し更に新しいp53のアナログペプチドをパルスした樹状細胞を用いてCD8 T細胞を刺激し種々のサイトカインを加えて培養しCTLの誘導を試みた。高い抗腫瘍効果を示すキラー細胞を誘導するアナログペプチドはいくつか同定され、その構造について詳細に検討した。すでに確立されているマウスの扁平上皮癌モデルに対してin vitroでp53アナログペプチドあるいはp53野生型ペプチドをパルスした樹状細胞を用いて誘導したCTLを投与し抗腫瘍効果を比較検討したところ、新しいp53アナログペプチドを用いて誘導したCTLを投与されたラットで、より強く腫瘍が縮小する傾向を認めている。現在、効果的な投与方法について検討している。最終的には、癌ワクチンの臨床応用を視野に入れている。
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