私達の研究グループではtyrosinase family proteinを各種の実験動物に免疫することによりVogt Koyanagi Harada disease(原田病)類似の眼所見および全身所見を惹起できることを報告した。しかし実験的な自己免疫性の原田病類似の病気を惹起させることができるのは免疫学的な背景としてLewis ratのそれを持っている必要があるが、melanocyteに対する自己免疫疾患であるとされている原田病について研究する場合にはメラニン顆粒を欠き、最適の動物の系統は言い難い。 このことから私達はpigmented ratとLewis ratを交配させ、実験的な原田病類似の病気に感受性のあるratの系統を作成することを試みた。 有色ラットであるDBとLewis ratを交配させた。このF1にLewis ratを戻し交配させ、N2 ratを作成する。N2 ratの内有色のものにtyrosinaseのpathogenic peptideを免疫し、疾患感受性のあるものを選択した。これに加えN2 ratの有色のもの全べてについてMHCのgenotypeについて解析した。これにより疾患感受性とMHC genotypeとの相関を検討した。次に疾患感受性があると思われるMHCがRT1BLのホモ接合体となっている個体で、有色のラットを互いに交配させるか、あるいはこれらのラットとLewis ratを再度戻し交配させる。これらの一連の操作によって有色ラットで、高率に実験的な原田病類似の疾患に感受性のある系統を作成した。MHCがRT1BL(Lewis rat)の場合は80-90%の確立で実験的自己免疫性疾患を惹起することができた。現在このratを使ってtyrosinaseの発現の有無による免疫の違いについて検討中である。
|