様々な濃度のクエン酸シルデナフィルを正常ラットおよび網膜に変性を持つRCSラットに投与し、その網膜に対する影響を電気生理学的検査(網膜電図)およびフルオレスセンおよびインドシアニングリーンの蛍光眼底検査によって検討中である。高濃度(500mg/kg)と低濃度(20mg/kg)投与群の二群に分けて投与期間、総投与量とその網膜に対する影響にどのような関係があるか検討している。正常ラットにおいて投与前、投与後1時間、6時間、1日、3日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月において網膜電図検査、蛍光眼底検査、組織学的検査を施行した。 低濃度群では投与前と比較して投与後での網膜電図検査では有意な変化は示さなかった。また蛍光眼底検査でも投与前と投与後の比較では有意な変化は見られていない。また組織学的な検査でもこれまで特に有意な変化は見られていない。これらの検査は正常ラットでの低濃度のクエン酸シルデナフィル投与の安全性を示していると考えられる。現在、高濃度のクエン酸シルデナフィル投与での検討を続けているが、投与する濃度を数段階に分けて検討したい。今後正常ラットでのデータを集めた後、網膜に変性を持つRCSラットに投与してその差異を検討することになる。また網膜電図記録の刺激条件を変化させることによりクエン酸シルデナフィル濃度と網膜の刺激感度曲線を求める予定である。これらの基礎データの蓄積はヒトでのクエン酸シルデナフィル投与の影響を検討していく上で非常に参考になると考えられる。
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