加齢黄斑変性は、先進国における60歳以上の主要失明原因であるにもかかわらず、その発症メカニズムはほとんど解っていない。TIMP-3(tissue inhibitor of metalloproteinases-3)の点変異により加齢黄斑変性と類似した臨床症状を呈するSorsby's fundus dystrophyが生じることが報告され、加齢黄斑変性でもTIMP-3の増加が見られた。網膜色素上皮でTIMP-3を過剰発現させることにより、加齢黄斑変性に見られるような変化が生じるか否かを検討した。網膜色素上皮に特異的に発現する遺伝子としてRPE65(Retinal Pigment Epithelium 65)を選択し、そのプロモーター領域にTIMP-3 cDNAをつなげたコンストラクトを作成したが、lacZを用いてプロモーターの発現効率を調べたところ、毛様体に発現が見られたが、網膜色素上皮での発現はわずかであった。そこで、TRP-2(Tyrosinase-Related Protein-2)のプロモーター領域を用いることに変更し、コンストラクトを作成した。遺伝子導入したマウスの解析は進行中であるが、加齢黄斑変性に認められるようなブルッフ膜の肥厚やドルーゼンの蓄積が見られることが期待される。
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