1.網膜分化を誘導する遺伝子のクローニング マウスcDNAライブラリーおよびRACEを用いて、網膜成長に関与する遺伝子の全塩基配列を決定した。 この遺伝子は、798塩基対からなっており、266アミノ酸のタンパク質をコードしていることが示唆された。さらに未知の遺伝子であったため、NCBIに登録した。これは、northern hybridizationおよびin situ hybridizationの解析より、発達期の網膜に特異的に発現することが示唆された。さらに臓器別の発現の違いをnorthern hybridizationで解析したところ、この遺伝子は全臓器で発現がみられ、特に肺や精巣で高い発現があった。 また、この配列の解析からヒト遺伝子の全塩基配列も決定した。 2.上記遺伝子のノックアウトマウスの作成、検討 上記網膜分化誘導遺伝子の遺伝子配列の解析より、この遺伝子は5つのエキソンから構成されていた。この遺伝子の上流のベクターでは、ES細胞へのエレクトロポレーションにより、相同組み替えがおこらないことが示唆された。 3.Cre-loxPシステムの確認 WT1遺伝子を用いたCreを含むターゲッティングベクターでは、胚細胞レベルでは相同組み替えがおこらないことが示唆された。なお、5200塩基対および10000塩基対の2種類のベクターを作成したが、ともに相同組み替えはおこらず、組み替え効率において遺伝子配列の長さは関与しないことが示唆された。
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