実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)モデルはヒトぶどう膜炎のモデルとして多用されている。その発症においてはhelper T cell(Th1)サイトカインであるIFN-γ、IL-2が主体である一方、Th2サイトカインであるIL-10は抑制的に働くとされており、IL-10を持続的に高発現させることによりEAUの抑制が期待される。プラスミドDNAは筋肉内に投与されるとエピゾームとして長期にわたりコードする蛋白を発現し続けることが可能であり、自己免疫性糖尿病モデルにおいては、IL-10発現プラスミドベクターの投与によりその抑制において良好な治療効果が認められている。同様にIL-10発現プラスミドベクターを投与することによりEAUの抑制効果が期待される。 LewisラットにS抗原を投与しEAUモデルを作成したのち、従来の方法に従いIL-10プラスミドベクターの筋肉内投与を行った。その後EAUの発症を観察したが、臨床的に顕著な抑制効果は認められなかった。また角膜移植モデルにおいて、IL-10は拒絶反応の抑制に効果があることが示唆されているため、同様に抑制効果を期待しIL-10プラスミドベクターを投与したがコントロールと比較し拒絶反応の抑制効果は認められなかった。続いて血中IL-10抗体を測定したがコントロールと比較し有意差が得られなかった。従来の方法では血中IL-10が上昇していないと考えられ、投与量、投与方法について現在検討中である。
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