研究概要 |
10人の健常人、男女比3:2、平均年令28.3歳の末梢血20mlを採取し、その末梢血よりリンパ球比重分離液(Ficoll^<【○!R】>)にて単核球を分離し、1時間培養液(RPMI1640)のみで培養することにより付着性細胞と非付着性細胞とに分離した。付着性細胞(マクロファージを含む)はさらにTGFβ(5ng/ml)の存在下または非存在下でPPDと3時間培養することによりTGFβ培養、非培養マクロファージを作成し、そのMHC class I,MHC class II,B7-1,B7-2,CD40の発現をFACSにて解析したが、co-stimulatory moleculeの発現は低く、TGFβ培養、非培養マクロファージ間に有意な差はみられなかった。また、TGFβ培養、非培養マクロファージを非付着性細胞と混合培養し、IL-4、IFN-γの産生量、T細胞増殖能を検討したところ、TGFβ培養マクロファージによるIL-4産生促進はみられなかったが、IFN-γ産生抑制が何人かでみられた。しかし、統計学的に有意とは判断できなかった。今年度の研究結果から得られた問題点、およびその改良策を以下に述べる。 1.付着性細胞をマクロファージとして用いてきたが、FACSの結果より他細胞の混入が多いと判断された。また回収が困難なことより回収率も低く、目的とした細胞数での培養ができないことが多々生じた。そのため、抗CD14抗体、マイクロビーズを用いたセルソーターにてマクロファージを分離することを計画している。 2.前房水はTGFβだけではなく、αMSH、CGRPなどの免疫抑制物質も含んでいるため、TGFβ培養マクロファージと同様に、前房水培養マクロファージも作成し、上記検討を行う。 3.T細胞増殖反応がみられないこともあったため、抗原としてPPDだけではなく、抗CD3抗体も用いる。
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