培養角膜上皮細胞に対する酸化ストレスと、細胞死の関連を追求するため、紫外線照射による細胞死の形態を調べた。角膜上皮細胞株(HCEC)を15%血清SHEM培地で培養し、紫外線を50mJ(以下低照射群)と450mJ(以下強照射群)照射した。6時間培養し、細胞形態を観察した。アポトーシスの関与を調べるために、蛍光基質を用いてカスパーゼ3と9の活性を蛍光プレートリーダーで測定した。カスペースの活性化に関与するミトコンドリアの機能を、Rhodamine 123の蛍光強度で評価した。 低照射群では約6時間で細胞は培養ディッシュより剥がれ、カスペース3と9の活性が経時的に上昇した。一方、強照射群では細胞脱落は見られず、カスペース9と3の活性の上昇は見られなかった。ミトコンドリア内膜の電位勾配と比例するRhodamine 123の蛍光強度は、両群において低下したが、強照射群では不可逆的だった。 今回の結果より、紫外線は角膜上皮細胞において、ミトコンドリア障害を介してカスペース酵素群を活性化し、アポトーシスを起こすことがわかった。しかし、一定の線量を超える紫外線では、主にネクローシスが起きることが示唆された。
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