アレルギー性結膜炎における角膜上皮障害の発症と重症化に関与すると考えられる好酸球とエオタキシンの局在を検討した。 1)免疫組織化学 角膜潰瘍を伴うアトピー性角結膜炎(AKC)の増殖した上眼瞼結膜を切除し、採取した組織より凍結切片を作製、ハンセル染色を行い好酸球の局在を光学顕微鏡で観察した。さらに、抗EG2抗体、抗ヒトエオタキシン抗体を用いて、酵素抗体法による免疫組織化学染色を行い、活性化好酸球とエオタキシンの局在を観察した結果、結膜上皮下には多数のEG2陽性の好酸球の浸潤を認めた。エオタキシンは、血管内皮細胞で陽性を示した。 2)角膜上皮障害重症度における比較検討 AKC37眼を対象とし、角膜上皮障害の程度により角膜潰瘍群、角膜上皮正常群に分類し、涙液および結膜のエオタキシン濃度と好酸球数を比較した。涙液はマイクロチューブで採取し、結膜はブラッシュサイトロシーを施行した。遠心にて細胞成分を分離、エオタキシン濃度はELISA法で測定した。結果、涙液のエオタキシン濃度は、角膜潰瘍群では、角膜上皮正常詳に比較して有意に高値を示した(p<0.001)。涙液の好酸球数も角膜潰瘍群で有意に高値を示し、エオタキシン濃度と好酸球数は相関した。また、上眼瞼結膜においても好酸球の出現率は、角膜潰瘍群で有意(p=0.01)に高値を示した。 重症なアレルギー性結膜炎における角膜上皮障害の発症には好酸球が関与し、好酸球の動員はエオタキシンが関与している可能性が示唆された。
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