我々は昨年度でVEGFトランスジェニックマウス(VEGFtg)、レーザー光凝固による脈絡膜新生血管モデル、低酸素網膜症モデルの3つの動物における眼内血管新生モデルを作成して、eNosがKOされた状態ではそれぞれの新生血管が阻害されることを証明した。本年度はiNos KOとnNos KOの上記新生血管の抑制効果を検討た。 1)VEGF transgenic mouseとiNos KOとnNos KOを交配してVEGF trans geneを持ったノックアウト動物を作成し、生後21日でフルオレセインデキストランを左心室から注入して屠殺し、眼球を摘出して固定後、網膜を単離してスライドグラス上にフラットマウントし、発生した網膜新生血管の数、大きさ、平均面積を定量してコントロールと比較する。eNos KO同様、iNos KOとnNos KOマウスともに、VEGFによる新生血管が、数、大きさ、平均面積のすべてにおいて有意に抑制された。 2)6から8週齢のiNos KOとnNos KOを、全身麻酔下にクリプトンレーザーで眼底に強度光凝固を行って脈絡膜新生血管を誘導し、レーザー後2週で眼球摘出してできた脈絡膜新生血管の大きさを定量して比較する。eNos KOでは有意差はなかったが、iNos KOとnNos KOにおいては脈絡膜新生血管が有意に抑制されることがわかった 3)生後7日のiNos KOとnNos KOの新生児マウスを母親とともに75%の高濃度酸素に五日間暴露し、その後、大気酸素濃度に戻して五日間放置して低酸素網膜症を発生させる。生後17日目で屠殺後眼球摘出し、できた網膜新生血管を定量してコントロールと比較する。iNos KOとnNos KOでは有意差はなかったが、eNos KOでは有意に網膜新生血管を抑制することがわかった。
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