本年度の課題としてまず、ラット小腸移植モデルの作成を行った。最初は移植手技の確立目的にLewis ratを用いて、同種同系モデルを作成した。donorから摘出した小腸の上腸間膜動脈、門脈をそれぞれrecipientの左腎動脈、左腎静脈にカフを用いて吻合し、移植腸管の両端は人工肛門として腹壁に固定しthiry-vella loopとした。この方法で小腸移植モデル作成が90%以上の成功率を得るまでに至った。この段階にて Donorとして雄性inbred Brown-Norway rat、recipientとしてLewis ratを用いallogenicな同所性小腸移植モデルを作成した。 これまでラットでは自己小腸を部分的にthiry-vella loopとし、食事内容が通過しない腸管での粘膜萎縮をボンベシンが予防する事は報告されているが、神経およびリンパ管が切除された移植小腸グラフトでは未だ、ボンベシンの効果は確認されていない。そこでまず、同種同系移植モデルを用いて、神経ペプチドであるボンベシンが移植腸管グラフトにたいして粘膜萎縮予防効果をもつかを検討したところ、ボンベシンを投与しないコントロール群に比し、ボンベシン投与群では移植腸管の粘膜絨毛は正常腸管と同程度に維持されている事が確認できた。 今後の計画では免疫抑制剤を投与した同種異系小腸移植モデルにてボンベシンが同様の効果を持つか否かを検討する予定である。
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