研究概要 |
糖尿病では皮膚微小循環障害のため四肢末梢の皮膚の壊死がみられることがあり切断術を余儀なくされることも多い。われわれは家兎の糖尿病モデルを作成し、皮膚微小循環障害の観察を行った。本年度は白血球の微小血管への影響を観察した。 従来と同様に、専用のパンチャーで家兎耳介遠位部に円形の全層欠損を作成した。軟骨と血管を温存してその表面と裏面の周囲皮膚を剥離し、REC(rabbit ear chamber)を装着した。chamber内に完成した微小血管網では細動脈、毛細血管、細静脈が確認でき、各々の血管内の赤血球、白血球、血小板か動的に観察できた。 アロキサンの投与で作成した家兎の糖尿病モデルでは細静脈に白血球の粘着が増加している像が観察された。またアセチルコリン、L-アルギニン、ニトロプルシッドの投与前後で血管茎を測定することにより、微小血管の血管内皮細胞由来の拡張機能障害が示唆された。次に同モデルを用いCD-18,抗L-selectin抗体で白血球の接着を抑制した実験では、白血球の関与が高い細静脈系で血管壁への粘着時間が短縮する傾向が見られている。また我々は微小循環における血栓形成過程についての実験も行っており、皮膚微小循環では細動脈では血小板血栓が見られるが、細静脈では白血球が血栓に関与していると考えられている。糖尿病モデルでの血栓への影響を観察する予定である。
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