血管内皮は、血管壁に及ぼす物理的応力のひとつであるshear stressを感知し、さまざまな細胞機能を修飾をおこない、遺伝子の発現を変化させる。最近、神経軸索のガイダンスとして知られているephrinが胎生期のvasclogenesisにおいて、動脈系の内皮細胞には、リガンドが、静脈系の内皮細胞には、受容体が発現していることが報告された。本研究では、shear stressによって、ephrinの発現が変化するという仮説のもとに、血管新生のメカニズム解明にアプローチする。 平成12年度は、in vitroでの培養内皮細胞を使った基礎実験を行なった。動脈由来の細胞(HAEC:ヒト大動脈内皮細胞)と静脈由来の細胞(HUVEC:ヒト臍静脈血管内皮細胞)の2種類に、平行平板型流れ負荷装置を使用しAGPC法を用いてtotal RNAを採取し、RT-PCRを用いてephrinのmRNA発現量を測定した。Shear stress(15dyne/cm_2)の流れを24時間、6時間負荷し、コントロール(static)と比較した。 HAECでは時間経過で、リガンドのephrinB2の発現がup-regurationし、EphB-4は変化がなかった。 HUVECでは時間経過で、受容体のEphB-4の発現がdown-regurationした。ephrinB2は6時間でUPし24時間でDWONした。 平成13年度は、この変化の再現性を確認し、in vivoの高いshear stress負荷シャントモデルで、ephrinB2、EphB-4の組織内での発現について研究する予定である。
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