IFN-γノックアウトマウスは生後6週から7週にかけて頭部から背部にかけて局所的に脱毛を来すという、非常に興味深い表現型を示す。この脱毛のメカニズムを調べるために、IFN-γノックアウトマウスと正常マウスの皮膚を各週齢で採取し、その凍結組織標本を作製して、病理組織学的変化を経時的に検討した。その結果、正常マウスの毛周期は、5週から6週にかけて増殖期から退行期へと移行しているのに対して、IFN-γノックアウトマウスの毛周期は、6週以降も増殖期のままであった。さらに、TUNEL法やBrdUを使用した免疫組織化学的手法によってアポトーシスと細胞増殖について検討を加えたところ、正常マウスの増殖期で認められる毛包中央部分のアポトーシスがIFN-γノックアウトマウスでは認められなかった。また、IFN-γノックアウトマウスでは6週以降もマトリックス細胞が増殖状態にあり、この増殖状態にある細胞は表皮細胞にも認められた。これらの結果より、IFN-γノックアウトマウスの脱毛は、毛周期が6週以降も増殖期であり続けることによって発症し、この毛周期の異常にはアポトーシスが関与する可能性が示唆された。さらに、この毛周期異常は、皮膚付属器である毛包だけではなく、表皮の周期的変化にも影響を与えていることが推察された。今後、この毛周期調節機構を明らかにし、関与する因子を遺伝子解析の手法を用いて明らかにしたい。
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