研究課題
ラットで一定規格のThorachodorsal arteryを栄養血管とする広背筋弁を挙上できる態勢を作った。さらに、同じくラットにおいて上大動脈からゼラチンを含む硫酸バリウムを注入して全身の血管造影が一様にできるようになった。以上より、広背筋弁の先端の筋肉部分を折り返した筋肉腔内にコラーゲンを担体とした骨形成蛋白を埋入し、経時的に骨誘導を観察した。それぞれの時点の血管造影所見を観察検討した。誘導骨の経過は、7から10日で一部軟骨と多くは骨が誘導され、14日から21日で誘導骨は完成される。この間に、筋層内に被膜、骨梁、血管を含む骨髄および担体のコラーゲンが認められるようになる。軟X線撮影では、筋弁内のThorachodorsal arteryからの主軸型血行と、誘導骨周囲の血管増生を認めた。また、誘導骨には垂直に流入する多くの血管を認めた。組織学的には骨が誘導される早期から血管が認められ、骨髄中に血管の増生を認めた。血管の管腔内に造影剤が認められたことは、Thorachodorsal arteryを栄養血管とする筋弁として主軸型血行が骨や骨髄も含めて成立したことが示された。これによって、将来、誘導骨である骨を含む有茎筋弁や遊離筋弁などの応用が行えることが想定され、自己骨組織を犠牲にすることなく、有血行の骨を含む筋弁による骨格再建を行っていくことができる。以上を学会および英文論文(in press)にて発表した。
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