外科的に採取された口腔癌組織46例から、LCMを用いて癌細胞のみを採取した。採取した癌細胞よりDNAおよびtotal RNAを抽出し、PCR・Rt-PCR法で、各種遺伝子異常について検索した。また、組織切片を用いた免疫組織化学染色も行った。 口腔癌組織52例中21例(40%)においてPTENの発現消失が観察された。また、3例でmutationが確認された。mutationのあった症例は、他の症例と比較して極端に予後が悪く、リンパ節転移もあった。 また、口腔癌組織46例中25例(54%)において、p16の発現減弱が認められた。発現が減弱していた25例については、そのうち18例(72%)が進行例であり、癌のリンパ節転移および予後と、p16の発現減弱との間には相関関係が見出された。また、p16発現減弱が認められた症例では、免疫組織化学にて増殖活性の上昇も確認された。 以上の結果より、PTENおよびp16の発現減弱は、口腔扁平上皮癌に高い頻度で認められ、さらにリンパ節転移やその予後に関与していることが明らかとなった。さらに、この結果から、PTENおよびp16は、口腔扁平上皮癌における良いマーカーであり、臨床病理診断に応用できることが示唆された。
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