研究概要 |
ミオシン重鎖、特に速筋タイプの筋線維に存在する3つのアイソフォームに注目した。このアイソフォームのプライマーの設計には成功し、予備実験ではRT-PCRで検出できた。試料はICR系マウス、1,7,14,21日齢および6週齢のマウスを用いる。各マウスから東京歯科大学動物実験指針に基づいて、咬筋およびコントロールとして咬筋と同様、成獣で速筋タイプの筋になる前頚骨筋を摘出した。免疫組織化学的検索では、通報に従い、凍結連続切片(7μm)を作成し、抗体はanti-MHCfastおよびanti-MHCslowで反応させる。このanti-MHCfastに染める筋線維の中には3つのアイソフォームがあるが、このアイソフォームのmRNAを生化学的に検出し、鯉弓筋である咬筋と四肢筋である前頚骨筋を比較検討した。さらに、試料をチオシアン酸グアニジン処理し、イソプロパノール沈殿法によりmRNAを回収した。その後、mRNAをアマシャムファルマシア社製のcDNA合成キット、Ready-To-Go、にてcDNA合成した。さらにミオシン重鎖のアイソフォームを検出するため、プライマーをGen Bankのデータに基づき合成した。PCR溶液は全量を50mlとし、1.25UのAmpliTaqGold(Perkin-Elmer,Foster-City,CA)、付属のバッファー、5-50ngのDNA、150μMのdNTPおよび各プライマーを含む。反応は、ABIPRISM7000(Perkin-Elmer,Foster-City,CA)を用い、40サイクルの反応を行った。さらに本研究代表者の所属する研究機関で所有するシーケンス検出・分離システムである「ABIPRISM7700シークエンスデイテクションシステム」を使用し、RT-PCR法で得られたmRNAの定量化を試みているところである。これらの実験結果から、マウスは成長期において特に、「離乳」という現象に伴った、劇的なアイソフォームの構成の変化を呈することが判明した。今後この「離乳」ということに焦点をあて、様々な観点から考えていきたいと考えている。
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