1.ラットの成長板において、CTGFが成熟軟骨細胞から前肥大軟骨細胞にかけて局在していることを明らかにした。 2.ウサギ肋軟骨成長軟骨初代培養細胞増殖・分化系で、軟骨細胞が成熟し、さらに石灰化するに伴い、^<125>I標識CTGFの結合量が減少することを見い出した。 3.ウサギ肋軟骨成長軟骨初代培養細胞を副甲状腺ホルモンで刺激し、軟骨細胞を成熟させると、^<125>I標識CTGFの結合量は減少し、一方、インターロイキン-1で分化を抑制すると、逆に結合量の増加が認められた。 4.ウサギ肋軟骨成長軟骨初代培養系を用いて、軟骨細胞の細胞外基質を調製し、^<125>I標識CTGFと結合試験を行うと、^<125>I標識CTGFは軟骨細胞の細胞外基質と結合することを見い出した。 5.ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8およびウサギ肋軟骨細胞において、^<125>I標識CTGFはヘパラン硫酸と結合するが、コンドロイチン硫酸やアグリカンには結合しないことを明らかにした。 6.HCS-2/8細胞に組換えCTGFタンパク質を作用させると、ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるパールカン遺伝子の発現量は著明に増加したが、他のヘパラン硫酸プロテオグリカンであるシンデカンファミリー遺伝子群には著明な発現量の変化は認められなかった。 7.HCS-2/8細胞に^<125>I標識CTGFを細胞膜受容体にクロスリンクさせ、電気泳動してオートラジオグラフィーを行ったところ、リガンド・受容体複合体である280kDaのバンドを認めた。このバンドはヘパリナーゼあるいはコンドロイチナーゼ処理しても同様に認められた。 8.放射性正リン酸存在下でHCS-2/8細胞にCTGFを作用させ、抗CTGF抗体で免疫沈降し、電気泳動してオートラジオグラフィーを行ったところ、280kDaのバンドのリン酸化の亢進が刺激後5分で認められ、その効果は60分で消失した。 これらのことから、CTGF特異的受容体にはシグナル伝達に関係する高親和性受容体とプロテオグリカンなどの軟骨細胞の分化に伴って変動する低親和性受容体が存在することが示唆された。
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