本研究の初年度(12年度)の成果は以下の通りである。 1.超音波Power Doppler法によるリンパ節転移に伴う経時的血管構築の変化の把握 VX2癌細胞を白色家ウサギ(15匹)の顎下腺または口腔底に移植した。1週間おきに頸部リンパ節内に描出される血管の形態的変化を観察した。病理的に転移と確認されたリンパ節に関しては、転移初期には描出される血管が増加し、樹枝状に描出された。時間の経過と共に血流の欠損部位が出現しついにはリンパ節全体を占めるようになった。また血流欠損部位の出現とともにリンパ節周囲に血管が出現する傾向にあった。 2.超音波Pulse Doppler法によるリンパ節転移に伴う経時的血流動態変化の把握 一般にhilumといわれるリンパ門での血流速を測定した。転移初期では、一過性にリンパ門部からの血流速の増大をみとめ、時間の経過とともに減少することが解明された。血管構造と血流動態の変化をあわせて判断すると、転移初期は正常なリンパ門部からの血流の増加を認めるのに対し、転移巣がリンパ節内で増大すると血管の破綻、圧迫などにより既存の血管(リンパ門からの血液供給)が低下し、周囲から被膜をとおして分布する微細な血管が、主なる血液供給のルートとなることが想定された。 3.白色家ウサギの頸部の固定装置の作成 白色家ウサギの頸部に対する超音波(特にDoppler法)を行う際は、麻酔下での長時間の固定が必要なため、専用の固定器具の作成が必要である。そこで、安全かつ効率よく超音波検査を行うための白色家ウサギの頸部専用の固定器具の設計および作成を行った。
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