研究概要 |
本研究では、消炎、止血、制菌作用を有すると言われている生薬として用いらてきた柿蒂(Diospyros Kaki Thunb.)に着目し、これらの抽出成分と共にin vitroでの口腔常在菌に対する抗菌作用について検討した。 1、供試菌株 Streptococcus mutans PS14、Actinomyces viscosus T14v、をBHI(Difco)培地を用い、37℃、24時間嫌気条件下で前培養を行った。 2、材料 柿蒂抽出成分としてOleanolic acid、Ursolic acid(sigma社製)を使用した。 3、供試ディスク 旭光学社製合成ハイドロキシアパタイトディスク(以下HAディスク)を実験に供し、成人男子のパラフィン刺激混合唾液にて処理したものを使用した。 4、柿蒂抽出成分の抗菌作用 各供試菌株に0〜1,000μg/ml濃度になるように可変量の柿蒂抽出成分を加え、Mitis-Salivarius平板培地に接種し、37℃、48時間ガス置換嫌気培養後、形成されるCFUのカウントを行い、濃度変化に伴う抗菌作用を検討し、以下の結果が得られた。各抽出成分の添加により明らかな付着菌数の減少が認められた。また濃度の増加に伴い付着抑制効果は増大し、1,000μg/ml濃度でほぼ完全に菌体のHAディスクへの付着を抑制した。 5、柿蒂抽出成分のHAディスクへの菌体付着阻害 菌液に柿蒂抽出成分を1,000μg/ml濃度になるように加え、37℃、60分間でインキュベーションし、菌体処理を行ったものを唾液処理したHAディスクへの菌体付着実験を行った。付着菌数の測定を行い、以下の結果が得られた。 Streptococcus mutans PS14においては約80%の付着抑制効果が認められ、Actinomyces viscosus T14vにおいても、約50%の付着抑制効果が認められた。
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