根管の拡大形成において、清掃不良の部分として残存する領域に根管イスムスがある。同部は内容物の除去が機械的拡大清掃だけでは不可能なため、化学的清掃が不可欠な領域であるといわれている。本研究では、通法の根管処置後にレーザー照射を行い、複雑な形態を有する歯の歯内治療において、予後良好な状態を保つために、より確実にレーザーをイスムスに応用し、根管イスムスの処理を行うことをめざしている。すなわち、内容物の蒸散による瞬時の除去法を検討することを目的としている。肉眼では観察できないイスムスの変化を考察し、歯内治療成績の向上につながる重要な観察であると思われる。 実験動物として年齢3歳の繁殖生産カニクイザルを日本エスエルシー株式会社より購入した。その後、全身麻酔下にて体重測定と口腔内観察、全顎的エックス線撮影をおこない、現在、本学研究施設の実験動物舎にて飼育環境に慣らす目的で飼育中である。一方、平成12年12月より、本学研究施設である実験動物舎の改修工事がおこなわれ、動物舎内部の動物手術室も使用できないため、動物実験は、平成13年春季におこなう予定である。 本研究における主要な設備備品としての顕微鏡用デジタルスチルカメラNikon社製D1は、当教室管理の光学顕微鏡もしくは、実体顕微鏡に装着後、キャリブレーションを終了している。実際には動物実験の術中および樹脂包埋後に、連続水平断切片での根管イスムスの内部有機質の状態を観察、記録できるよう随時、稼働できる状態にある。 今後の予定として、実験動物舎の改修工事期間中に、本研究にて使用するCO_2レーザー(パナラスC10)の照射用チップの選定、調整と操作の熟達をおこなう予定である。
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