E_2、DESを投与した雄性ラットとペアリングした雌ラットからの出産は確認されなかった。出生雄ラットでは、Vehicle投与群と比較して、(1)GMA5μg投与群のみに有意な体重の上昇が見られた。精巣重量は全ての群で有意な差は認められなかった。(2)血清E_2は、BPA5μg、GMA5mgおよび5μg投与群で有意な減少が認められた。しかし、血清Tレベルでは有意な差は認められなかった。一方、出生雌ラットについては、Vehicle投与群と比較して、(3)BPA5mg、5μg投与群において体重の有意な上昇がみられ、(4)子宮重量はBPA5μg投与群のみ有意な上昇を、(5)卵巣重量は、GMA5mg投与群のみ有意な減少を示し、その他の群は全て有意な上昇が認められた。(6)血清E_2レベルでは有意な差は認められなかったが、血清TレベルにおいてBPA5μg投与群のみに有意な上昇が認められた。少数例であるが、以上の結果より、E_2、DES投与で雄ラットの妊孕能は消失し、BPA、GMA投与では、妊孕能はあるものの生まれた仔の性ホルモン環境は障害を受け、この障害はとくにBPA5μg投与雄ラットから生まれた雌ラットに顕著であった。すなわちBPAによる精子障害が、次世代の雌に継続されることが示唆された。このメカニズムについてはさらに匹数を増やし、詳細に検討しなければならない。
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