平成12年度 生後8週齢のウイスター系ラット雄性SPFラット用い、エーテル麻酔下にて下顎第一臼歯をラウンドバーを使用し窩洞形成後、探針にて、歯髄穿孔を行った。穿孔部の交互洗浄、止血を確認し、低粘性レジンにて穿孔部を封鎖した。また、対照群は特に処置を施さなかった。その後、7、14日後に動物を屠殺し、下顎骨を摘出した。摘出した下顎骨は、中性ホルマリンで固定後、EDTAで低温脱灰を行い、パラフィンに包埋した。通法に従い、連続組織片を作製し、HE染色を行った。その結果、術後7日では、損傷された歯髄では、軽度の炎症細胞浸潤が認められた。また、術後14日では軽度の炎症性細胞浸潤は持続し、穿孔部は繊維性の結合組織で被包されているものも認められた。また、いくつかの動物では修復象牙質形成が認められるものもあった。 現在、TGF-β1抗体を用いたSAB法で穿孔部の組織修復におけるTGF-β1の動態を検索中である。また、術後7、14、21、28日と経時的に修復象牙質の形成量を組織形態計測学的に検索することを予定している。
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