研究概要 |
本研究は歯科用CAD/CAMによる機械加工に適した歯科材料の開発を行う際に不可欠な機械加工性の評価の方法について検討した.本年度は試作チタンニオブ合金の切削性の評価を行った.スポンジチタンとニオブを秤量し,CPTi, Ti-10mass%Nb, Ti-30mass%Nbのインゴットをアルゴンアーク融解炉で溶製した.試験片はインゴットを研磨調整したものを用いた.また比較のため切削性に優れる六四黄銅の試験片も用意した.切削試験はCAMに超硬エンドミルを装着して行った.主軸に回転速度のピックアップを,主軸モータの駆動回路に電流センサを装着し,回転速度と切削トルクの変化を検出できるようにした.またテーブルとバイスの間に3分力計を装着し,被削材に加わる力を記録できるようにした.切削様式は溝切削とし,回転速度,送り速度,切込み量を変えた4条件で試験を行った.主軸モータ電流はいずれの金属においても回転速度と送り速度が大きいほど,また切込み量が大きいほど大きくなる傾向が見られた.また金属別にみると,各条件とも黄銅が最も小さく,Ti-30%Nb, Ti-10%Nb, CPTiの順で大きくなった.静的切削力の水平成分はCPTiが最も大きく,最も小さかった黄銅の約2倍であった.CPTiと比べてTi-Nb合金はモータ電流が,黄銅はモータ電流と切削力が低いことが分かり,これらの値が切削性の評価に有効であると考えられた.
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