研究概要 |
本研究は,義歯設計のシミュレータを製作し,これを用いて患者個々の形態,機能に適応した義歯を製作するために,患者ごとに義歯製作前に義歯の動きや義歯及び生体に発生する応力を解析することを大目的としている. 本年度は,遊離端欠損部顎堤形態およびレスト位置を三次元計測器(VIVID700)にて点群データとして取り込みとデータの取り込み精度の測定,顎堤におけるアンダーカット部を再現するための2群データの重ね合わせ,適切な点群データ数の決定,CADソフトへのDXF形式での取り込みを行った. その結果,三次元計測器での取り込み精度は左右方向で約250μmであった.本研究に用いた片側遊離端部の顎堤においては,アンダーカットによってレーザー光が遮られ1方向からでは計測不可能な部分においても,2方向より計測し,得られたデータをソフトウエア上にて基準点を用いた重ねあわせを行うことによって,スムースな各点群データ間の移行が可能となった. また点群データ数は,今回採得した5症例においては約4000〜7000点程度の範囲となり,このデータ数で構築された顎堤形態はシミュレーションに十分耐え,かつ表示や応力変位解析にも必要十分であることが示された. 三次元計測器より得られたデータはDXF形式でCADソフトにエキスポートすることが可能となった.さらにCADソフトでは点群データを加工し,点群データ上にサーフェイスを作成することが可能となった.サーフェイスからのソリッド化に関しては一様な粘膜を想定した場合に関しては可能となったが,粘膜が一様でない場合のモデリングに関しては検討中である. 義歯設計の方法については義歯床と粘膜面での接触問題に関する設定を検討中である.
|