直径0.100mmと0.125mmのCo_<46>-Fe_<23>-Cr_<10>-Si_8-B_<12>アモルファス合金線を試料とした。アモルファス合金の結晶化の影響を調べるために、真空中200〜600℃で熱処理した試料についても検討した。引張特性はインストロン型引張試験機を用いて大気中、室温で測定し、クロスヘッド速度は0.5mm/min.で一定とした。弾性定数を測定するために、試験片のゲージ長さを10、20、50、100mmに変えて試験を行った。アモルファス合金線は試験片の直径に影響されず3000MPaを超える高い強度を示し、弾性定数は170GPaであった。低温での熱処理において強度の変化は見られないが、熱処理温度450℃付近から引張強度が下がり始め、熱処理温度600℃以上では治具にセットする際に試料が脆化により破断し、引張試験を行うことができなかった。引張破断面観察から、熱処理なしの試料はアモルファス特有のvein模様のある破面を有していたが、熱処理した試料はvein模様が観察されなかった。また、熱処理温度によっても破面形態が異なっていた。 耐食性試験は試料表面をバフ研磨で鏡面状態にし、フッ酸+硝酸+蒸留水の混合液を用いて表面を腐食して光学顕微鏡観察を行った。その結果、熱処理なしの試料は腐食液による影響は見られなかった。300℃、400℃で熱処理した試料も同様の結果であったが、500℃で熱処理した試料は腐食され組織が観察できた。この結果からアモルファス合金の高い耐食性が示唆された。 以上のことから、アモルファス合金は高強度でかつ高耐食性を有し、歯科用材料として有望である。線材としての利用は、矯正用ワイヤーなどへの利用が考えられCo-Cr合金やステンレス鋼より優れた機能を有する材料となる可能があると結論した。
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