研究概要 |
平成12年度の研究としては、ヒト正常骨由来骨芽細胞様株(SV-HFO)にパルス電磁場刺激刺激を与え、1〜48時間後のmRNAを抽出しc-fos,c-jun,CBFA-1について遺伝子の発現について検索した。 c-fos,c-junは増殖期に発現するプロトオンコジーンでありパルス電磁場刺激が細胞増殖を促進するというメカニズムを遺伝子レベルで解析するのことは大変意義がある。結果としては、細胞濃度がサブコンフルエントに達してからパルス電磁場刺激を開始した.開始1時間から3時間後まではその発現は刺激していないように思われたが,開始6時間から48時間後においてc-fosならびにc-junが非刺激群に対し有意に刺激していた.このことからパルス電磁場刺激の細胞増殖に対する影響が遺伝子レベルにおいても確認され、パルス電磁場刺激により細胞増殖が促進されるという過去の報告に対して遺伝子レベルでもその現象が裏付けられる結果となった.そのことから更なるメカニズムに対する検討の可能性が示唆されたと思われ,今後は、パキシリンやチロシンキナーゼ活性などのリン酸化などについても検索する必要性があると思われる。 次に骨芽細胞の分化調節因子であるCBFA-1へのパルス電磁場刺激電磁場刺激の影響は,刺激開始24時間後からmRNAの発現が刺激され,48時間後には,最も刺激されていたという結果がえられた.このことは,パルス電磁場刺激そのものの直接的作用というよりは,間接的もしくは複数の因子が作用して発現している可能性が考えらることを示唆する結果となった.今後は,パルス電磁場刺激とCBFA-1との関係を詳細に検討することが重要と考えられた.
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