研究概要 |
近年、ハイブリッド型コンポジットレジンは、生体に調和した審美的補綴法の1手段として多目的に応用されることが多い。しかし、主成分がグラスフィラーであるため、接着機構も従来型コンポジットレジンとは異なっており、その物性についても不明なところが多い。一方、我々はロカテック法が、金属・セラミックスを被着体として強固なシリケート層を付与できることに着目し、ハイブリッド型コンポジットレジンとの接着反応性・強度を調べた。また、このレジンの重合率の向上を目的として、重合後に後加熱を行うことで接着反応性や物理的性質への影響を調べた。 現在のところ、以下の結論を得ている。 1,金属との接着反応性について 金銀パラジウム合金と高フィラー配合型コンポジットレジン(グラディア、エステニア)の接着法において、ロカテック法はサーマルサイクル(5-60℃)70,000回後、初期強度から有意に剪断接着強度が減少したが、メタルプライマー塗布(化学的接着法)に比べ有意に高い接着耐久性があることが、示唆された。 2,セラミックスとの接着反応性について ガラス浸透処理した高純度アルミナ・ジルコニア(インセラム)と高フィラー配合型コンポジットレジン(ベルグラス・エステニア)との接着界面の表面処理法として、ロカテック法が有効であることが示唆された。、 3,後加熱の影響について 金属との接着反応性において、後加熱は有効ではなかった。これは、金属とレジンの熱膨張係数の違いが影響しているものと考察した。しかしながら、レジン単体で後加熱をした場合、曲げ強さや弾性係数に、高度に有意な向上が認められ、臨床的有効性が示唆された。
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