研究概要 |
昨年度の実験結果から、光重合レジンのフィラータイプが光重合レジンの重合性に影響を及ぼすことが示唆されたが、使用した市販光重合レジンに含まれる他の成分の影響も考えられ、明確な関係は得られなかった。この結果を基にBis-GMA, TEGDMAの組成比を変えたモノマーに屈折率の異なるフィラーを加えてコンポジット化し、各光照射器の特性と光重合レジンの成分がその重合性と光透過性に及ぼす影響についてさらに詳しく実験を行った。 1.光透過性 光照射中に試作レジンを透過する高出力型光照射器の透過光強度は従来型光照射器の約2倍〜5倍の値を示した。また、両光照射器で、マトリックスレジンとフィラーの屈折率の差が重合に伴って大きくなるものは光照射直後に強い透過光強度を示し、経時的に減少した後、一定となった。しかし、重合に伴い差が小さくなるものは光照射開始から徐々に透過光強度が上昇し、経時的に一定となる傾向を示した。 2.光重合レジンの重合性 試作レジンの硬化深さを従来型で10,20および40秒、高出力型で3秒および6秒の照射時間について調べ、その重合性を調べるために深さ方向にヌープ硬さを測定した。いずれの試作レジンにおいても高出力型の6秒照射は従来型の20秒照射と同程度の値を示した。また、両照射器とも、フィラーとモノマーの屈折率の差が小さい方が硬化深さおよびヌープ硬さ共に大きな値を示す傾向が認められた。 以上より、高出力型光照射器は、従来型光照射器に比較して短時間で光重合レジンを重合させることができ、光照射器の特性が光重合レジンの光透過性および重合性に影響を与える一因子であることが認められた。また、使用する光照射器にかかわらず、光重合レジンのマトリックスとフィラーとの屈折率の差がその光透過性および重合性に影響を及ぼしていたことから、光重合レジンの成分の屈折率も重要な因子であることが示された。
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