顎関節症の痛みには、炎症によるもの、虚血によるもの、その他、神経性、心因性によるものなど数々の原因が考えらる。我々はこのような痛みの原因といったものもふまえ、痛みといったものに対処していかなければならない。そのため、今日まで数々の検査法が研究されている。しかし、現在、実際に臨床応用されているのは、少数であるのが現状である。その理由には、コストや精度ももちろん、操作の煩雑さや侵襲度なども関係していると思われる。今回は、その中の1つである、深部温に着目し、比較的簡便で非侵襲的に計測する方法を用い、実験を行いいくつかの知見が得らた。 対象は、14〜53歳、平均年齢28.8歳の男性5名、女性9名の計14名。測定部位は9関節、8筋の計17ヶ所である。 今回は、テルモ社製コアテンプCTM-205を用いた。本器は、体表面を断熱材で覆い、外気温の影響を防ぐと、体表面温と深部温は等しくなるという原理を応用している。プローブは直径と同じ深さの深部温が計測できるとされており、今回は直径15mmのME-PD31を使用した。測定は、顎関節部・咀嚼筋部の安静時深部温、部位は、疼痛あるいは違和感のあるものは、その部位と対側、症状の認められないものに関しては、顎関節部あるいは咬筋中央部を被験部位とした。 今回、14名の被験者、9関節、8筋について深部温を検討した結果、以下の知見が得られた。 1.疼痛・違和感を訴えるものは、症状のないものと比較し、深部温の左右差が大きかった。 2.筋に疼痛のあるものは、深部温は疼痛側が高く、関節に疼痛のあるものは低いものと高いものが認められた。 今後、被験者数を増やすとともに血流との関連性について考察していく予定である。
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