研究概要 |
チタンは優れた生体親和性、耐蝕性、経済性などの利点から形成外科や歯科などで注目され,従来から用いられてきた合金の代用金属として臨床応用が試みられている. しかしながら,鋳造後の鋳型材は産業廃棄物となり,近年のゴミ問題から考えてもリン酸塩系埋没材が廃棄物として埋め立てられた場合,環境汚染の問題が発生することが予想される.本年度は市販されているチタン専用リン酸塩系埋没材を用いて検討を行った. 埋没材にはチタン専用リン酸塩系埋没材である,T-INVEST C&B(GC),CDチタンインベストメント(松風;実験計画の立案時はTITANCROWNであったが,実行時には製造中止となったため変更)を使用した.実験開始当初は一度焼却した鋳型材を振動ミルにて44〜88μmに粉砕することを試みたが,両埋没材とも非常に大きな粒径で構成された埋没材であり,粉砕するのに非常に時間がかかり合理性を欠くため粉砕後の平均粒径を150〜300μmへと変更した.粉砕した粉末は埋没材に5%,10%,15%添加して,鋳型材の機械的性質について検討した. 硬化時膨張に関してはT-INVEST C&Bは大きな影響を受けず,CDチタンインベストメントは添加量が15%で膨張量が激減する傾向を示した.また,加熱膨張については添加量の増加と膨張量に相関は見られなかった.圧縮強さに関してはCDチタンインベストメントにて添加量が10%の時に最大値を得たが,T-INVEST C&Bではほとんど影響を受けない結果を得た.一方,硬化時間に対しては両埋没材ともに影響を受ける傾向となった.これらの結果は最終目標の平均粒径にした場合,異なってくる可能性もあるが,同じ系列の埋没材で結果が異なったことに関しては詳細に検討を加える必要がある.次年度は,実際にチタンを鋳込みながら適正値を検討する.
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