研究概要 |
1、 in vitroで頭部神経堤細胞より歯牙形成をおこす実験系の確立 歯間葉細胞は、頭部神経堤細胞由来であることが知られている。頭部神経堤細胞は、神経系の組織とともに、骨、軟骨、歯牙といった硬組織に分化する能力を有し、顎顔面領域の大部分の組織の起源となる細胞である。E8-9stageマウス胎児を用いた第一鰓弓器官培養系において、使用するFBSのbatch selectionや濃度の検討、更に第一鰓弓部のmicrodissectionの方法など種々の培養条件を検討することにより、マウス頭部神経堤細胞が歯間葉細胞へ分化する実験系を確立した。 2、 多様な分化能をもつ頭部神経堤細胞から歯間葉細胞へ分化するために重要な遺伝子の解析 近年、Msx1,Lef1,Pax9,Dlx1/2,Gli2/3,Activin βAといった遺伝子のノックアウトマウスにおいて歯牙形成不全が報告され、各遺伝子の歯牙形成における役割が注目されている。その一方で、数多くのノックアウトマウスにおいて、歯牙形成などの器官形成前のstage(E8-9stage)でのembryonic lethalityのため、その遺伝子の頭部神経堤細胞から歯間葉細胞への分化の関わりが検討できないでいた。上記1の実験系を歯牙形成前のstage(E8-9stage)でembryonic lethalityを示すノックアウトマウスの胎児に応用し、そのembryonic lethalityをrescueできるかを検討した。本実験系において、少なくとも頭部神経堤細胞から軟骨細胞や歯間葉細胞への分化が確認できるstageまで、そのembryonic lethalityをrescueできることを確認した。
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