口腔癌患者および前癌病変患者より手術および生検より得られた試料を10%中性緩衝ホルマリン浸漬固定後、パラフィン包埋標本とした。一次抗体のα-デフェンシンはAnti-Human Defensinのモノクロナール抗体、β-デフェンシンはβ-Defensin 2に対するポリクロナール抗体を用いてABC法で免疫組織学的検索を行った。その結果、口腔癌患者の顎下腺線状部にα-デフェンシンの局在を認め(業績1)、よく分化した扁平上皮癌細胞にβ-Defensin 2の局在を認めた(業績2)。そして一部の粘表皮癌細胞にもβ-Defensin 2の局在を認めた(第45回日本口腔外科学会総会発表、東京)。またデフェンシン類は、ヒスタミン遊離作用をもつことが知られているが、ヒトβ-Defensinにおいては、今まで報告されていなかった。われわれは、世界に先がけてβ-Defensin 2の強力なヒスタミン遊離作用を報告した(第48回JADR総会発表、千葉)。それ以外にも顎嚢胞内溶液中のデフェンシンの存在も報告した(業績3)。口腔癌組織および前癌病変患者における樹状細胞中でのデフェンシンの存在はα-デフェンシンにおいては、認められるものβ-Defensinにおいては、いまだ検索中である。In Situ Hybridizationにおいては、デフェンシンに対するαおよびβ型それぞれのプローブを作成した。現在、Hybridizationを行い、検索中である。
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