研究概要 |
3p領域には、FHIT.hMLH1.TGFBR2、VHLなどの遺伝子の他、未知の癌関連遺伝子の存在が諸家の報告で示唆されている。口腔癌に関連のある新たな癌抑制遺伝子の同定を3p末端領域で行なうことを目的とした。 口腔扁平上皮癌(SCC)36例を対象として3p領域のLOHを検出し、D3S2450(3pter-p24.2)において66%にLOHを認めた。今回(平成12年度)その領域を絞り込むため、3pter-p24.2の領域で8種類のマイクロサテライトマーカーを用いて、SCC36症例において更にLOH解析を行なった。その結果、24%から52%のLOHが認められた。D3S2450から0.8cMセントロメアにあるD3S3591に52%のLOHがみられ、欠失地図を作成した結果、D3S2450からD3S3591が口腔扁平上皮癌において共通欠失領域であると考えられた。また、この領域のLOHをもつ症例と臨床病理学的因子との関連を調べたところ、高い浸潤性(浸潤様式3,4C,4Dtype)をもつ症例が多いことが判明した。共通欠失領域における癌抑制遺伝子の同定のため、人工染色体(BAC)を用いてcontigを作成した。D3S2450からD3S3591のDNA全長を11のBACにてカバーした。そのDNA全長は1381kbで、シーケンスを用いてエキソン予測プログラム(Gene Scan)により、現在3つのEST(expressed sequence tags)を確認している。
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