現在治験段階であるgabapentinおよびpregabalinの、三叉神経系における神経因性疼痛に対する有効性を評価する目的で本研究を行い以下の結果を得た。右側眼窩下神経(ION)をCCIすることにより右側ION支配領域に、非侵害的機械刺激に対する静的なallodynia(static allodynia)を惹起させたが、術後10日目から14日目にかけて、75.6%のラットにstatic allodyniaが認められた。このCCI-IONラットに、saline、gabapentin、pregabalinおよびcarbamazepine腹腔内投与後の非侵害的機械刺激(3.63gのvon Frey hairを使用)に対して発現する、三叉神経脊髄路尾側亜核(MDH)内Fos様蛋白陽性細胞(Fos-LI cells)発現様式について比較検討した。その結果carbamazepine 17mg/kg投与群とgabapentin 10mg/kg投与群ではsaline投与群と比較し、CCI同側および反対側の表層と深層におけるFos-LI cells数に有意な差は認められなかった。gabapentin 30、100mg/kg投与群とpregabalin 3、10、30mg/kg投与群、およびcarbamazepine 50mg/kg投与群では、saline投与群と比較してCCI同側の表層および深層の両層において、Fos-LI cellsの有意な減少を認めたが、特に表層においてその傾向は強く現れた。各群でのCCI反対側の、表層および深層において発現したFos-LI cells数の投与量依存的な減少は観察できなかった。今回の実験からgabapentinおよびpregabalinは、CCI-IONラットにおいて、MDH内で興奮状態の細胞に対し抑制作用を有することが明らかになった。
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