研究概要 |
1.KB細胞培養上清がリンパ球の増殖とDPP IV活性に与える影響 KB細胞培養上清を10〜60%の終濃度でリンパ球培養液に添加し,非添加群と添加群でリンパ球数,リンパ球抽出液および培養上清中のDPP IV活性を比較した。その結果,KB細胞培養上清添加量に比例し30%までは濃度依存性にリンパ球数は減少し,リンパ球抽出液および培養上清中のDPP IV活性も低値を示した。 2.KB細胞との同時培養におけるリンパ球の増殖とDPP IV活性 リンパ球のみ培養した実験群(LYM)と,KB細胞と同時培養した実験群(LYM/KB)でリンパ球数とDPP IV活性を比較した。その結果,LYM/KBのリンパ球数はLYMに比べ減少し,リンパ球抽出液および培養上清中のDPP IV活性も低値を示した。 3.KB細胞培養上清分画の添加によるリンパ球の増殖とDPP IV活性の抑制 KB細胞培養上清中におけるリンパ球活性化抑制因子の分子量を検討するため,KB細胞培養上清の各分画をリンパ球培養上清に添加した結果,8〜30kDaの分画添加群において,リンパ球数は非添加群に比べ減少し,リンパ球抽出液および培養上清中のDPP IV活性も低値を示した。また,8〜30kDa分画添加群のリンパ球表面抗原の発現をフローサイトメトリーで比較したところ,添加群のCD3/26陽性細胞数は,非添加群に比べ減少した。さらにTリンパ球サブセットであるCD4およびCD8陽性T細胞のCD26陽性細胞率もそれぞれ減少した。また,蛍光ヒストグラムによる蛍光強度の中央値でもCD3/26,CD4/26,CD8/26陽性細胞ともに抗原発現の減少を認めた。 以上の結果から,口腔癌細胞より産生された8〜30kDaの液性因子がリンパ球の活性化とCD26の発現を抑制することが明らかとなった。
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