本年度は、局所麻酔薬を静脈内に持続投与した場合と頚動脈内に持続投与した場合の痙攣誘発に伴う局所脳血流量の変化の差異を比較した。また、血管収縮薬であるエピネフリンを局所麻酔薬に添加した場合の局所脳血流量の変化についても動静脈内投与間で比較検討した。なお、今回の実験では、局所脳血流量の経時的な変化を知る目的で計測にはレーザードップラーフローメトリーを用いた。 実験には白色日本家兎を用い笑気・酸素・パンクロニウムで麻酔維持を行った。実験群を1.リドカイン単独頚動脈内投与群、2.リドカイン単独静脈内投与群、3.リドカイン+エピネフリン頚動脈内投与群、4.リドカイン+エピネフリン静脈内投与群の4群に分け各薬剤を持続的に投与した。痙攣発現は、脳波上で観察を行った。各群間で、平均血圧、局所脳血流量、痙彎誘発量を比較検討した。 その結果、平均動脈圧は、リドカイン単独頚動脈内投与群、リドカイン単独静脈内投与群においては、薬剤投与前に比べ痙攣発現直前に低下したものの時間的変化に有意な差はみられなかった。さらに、エピネフリンを添加した頚動脈内投与群、静脈内投与群についても、薬剤投与前値と比較し時間的な有意差は観察されなかった。局所脳血流量は、リドカイン単独頚動脈内投与群、リドカイン単独静脈内投与群、リドカイン+エピネフリン静脈内投与群において痙攣発現直前に一時的な低下が見られたものの薬剤投与前値と比較して有意な差はみられなかった。
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