7週齢SDラットの第一臼歯に様々な大きさの矯正力をかけ、経時的に屠殺、灌流固定ならびに脱灰して得られたパラフィン切片に、破骨細胞を誘導する因子であるODF、M-CSF、TNF、IL-1およびIL-6のRNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーション法を以下の方法で行った。 矯正力としては3種類の力系を用意した。ラットにおいて効果的に歯を移動することができなおかつ硝子様変性ならびに歯根吸収が生じにくいと言われる5gの持続的な力を.014インチのニッケルチタン性のワイヤーを用いて作った。ラットの歯を移動するには過度で硝子様変性ならびに歯根吸収が生じやすいと言われる力としては、.018インチのステンレスワイヤーで50gの持続的な力を、また、歯間に挿入した弾性ゴムを用いて一過性の過度の力(Waldo法)を作った。各切片をヘマトキシリン・エオジン染色したところ、5g群では圧迫測歯根膜に若干の硝子様変性が認められたもののほぼ血行は保たれていたのに対し、50g群ならびにWaldo法を用いた群では圧迫側歯根膜は一時的に完全に血行が途絶え多くの硝子様変性組織が観察された。 プローブ作製については、破骨細胞の誘導因子の遺伝子を調べ、それぞれのオープン・リーディング・フレームから他の遺伝子とホモロジーの低い部位を定めプライマーを設定し、RT-PCRならびにTAクローニング法にて当該部位をクローニングし、適当な制限酵素で切断した後in vitroトランスクリプションを行いRNAプローブを作製した。 in situハイブリダイゼーションを通法に従い行った結果、各因子は時間特異的に発現し、それぞれの群での各遺伝子発現は細胞レベルで差異が認められた。現在、その差を骨形態計測法を用いて検討中である。また、in situハイブリダイゼーション法と矛盾がないかを免疫染色法でも検討している。
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