昨年度の研究で得られたデータから、ODF、M-CSF、TNF、IL-1の遺伝子発現レベルは、歯に加える矯正力の強さによって変化することが示唆されたが、それを定量的に確かめるため、本年度は骨形態計測の手法を用いて分析を継続した。また、昨年度の研究で得られた知見を元に、ODF、M-CSF、TNF、IL-1などの遺伝子発現を負荷をかけた顎関節部において調べた1)。その際の顎関節部のMRIによる評価を正確に行う研究の一環として、岡山大学第一補綴学講座の協力のもと、顎関節MR1読影トレーニングの方法の開発を行った2)。さらに、新規遺伝子CORS26の顎関節部での遺伝子発現を調べている3)。 1)7週齢マウスの第一臼歯に様々な高さのレジンを盛り、.経時的に屠殺、灌流固定ならびに脱灰して得られたパラフィン切片に、骨吸収を誘導する因子であるODF、M-CSF、TNF、IL-1およびIL-6のRNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーション法を行った。 2)各被験者の読影能力の向上を評価するためにCohehのKappa値を用いた。 3)1週齢マウスを灌流固定ならびに脱灰して得られた顎関節部パラフィン切片に、新規遺伝子CORS26のRNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーション法を行った。 プローブ作製については、CORS26のオープン・リーディング・フレームから他の遺伝子とホモロジーの低い部位を定めプライマーを設定し、RT-PCRならびにTAクローニング法にて当該部位をクローニングし、適当な制限酵素で切断した後in vitroトランスクリプションを行いRNAプローブを作製した。
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