プログラム細胞死は発生の過程において、その形態や機能の正常な発現を現すために必要不可欠のものである。本研究は歯胚発生過程、特にその初期におけるプログラム細胞死に関連したシグナル伝達の分子生物学的解明を研究し、これにより歯胚形成のメカニズムを解き明かしていくことにより、歯牙顎骨領域における再生の可能性とその実現に近付くことを目的としている。まず、insitu hybridization法(ISH)に必要なcRNAプローブを作る鋳型となるcDNAプローブを用意している最中である。必要と思われるプローブの準備が終了し、培養細胞を用いてテストを行っているが、現時点ではうまく作動しないコンストラクトがいくつかあるため、その原因究明に可及的すみやかに全力を尽くしているところである。このコンストラクトはISH法のみならず、培養歯胚内にて特定の遺伝子の過剰発現もしくは蛋白の産生をノックアウトするために用いるものであるため、このコンストラクトの善し悪しがこの研究の最も基本的なところにして重要なところとなることは、今後の研究経過において明白である。このコンストラクトはISH法に用いるcRNAプローブの作製のみならず、上記のような場合の特定の蛋白質の産生を行わせる場合においてもその過剰に産生された蛋白質が培養器官由来かそれともコンストラクト由来のものかが区別できるような仕組みに設計されている。そのため、コンストラクト自体の構造が複雑であり、また、in vitroで蛋白を産生させた時にその蛋白のテストも行わなくてはならない。そのテストも現在、一部のコンストラクトについて進行中である。そのため、不具合の出たものに関しては、その原因いかんによっては最初から作り直す予定としている。
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